「学歴:大学院〇〇研究科退学」
こんな表記を見て、「え?途中で辞めたの?」と思ったことはありませんか?
実は、大学院を「退学」と記載するのには、ちゃんとした理由があります。今回は、なぜ大学院を卒業ではなく「退学」とするのか、その意味や背景をわかりやすく解説します。
この雑学を要約すると
- 大学院では「卒業」ではなく「修了」または「退学」と表記される
- 「退学」は必ずしもネガティブな理由ではなく、キャリアや環境の変化によることも多い
- 履歴書に書く際は、「退学」後の進路や目的も添えると印象が良くなる
そもそも大学院は「卒業」じゃなくて「修了」
大学(学部)を終えるときは「卒業」と言いますが、大学院では「修了」という表現が使われます。
これは、大学院が学術研究を目的とした課程制だから。決められた単位と論文などを達成すれば「修士課程修了」または「博士課程修了」となり、「学歴:修士(または博士)課程修了」と書けます。
逆に、課程をすべて終えずにやめた場合は「退学」という表記になります。
退学と中退の違いは?
「退学=中退」と思われがちですが、履歴書などでは「退学」と記載するのが一般的です。
たとえば以下のように書きます。
例)2022年4月 〇〇大学大学院△△研究科入学
2024年3月 同課程 退学
この「退学」には、自主的に辞めた場合もあれば、修士論文が通らず修了要件を満たせなかった場合も含まれます。

ある人の経歴に『大学院退学』って書いてあったんだけど、なんかネガティブな感じしない?



そう感じるのも無理はないね。でも実は、“退学”と書かれていても、それが“単に修了前に自分の意思でやめただけ”だったり、“キャリアチェンジのため”だったりすることもあるんだよ。



なるほど、単に“ドロップアウト”ってわけじゃないんだ!



うん。むしろ、大学院で得た知識や経験を活かして別の道に進む人も多いの。『退学』はその人の選択の一部なのよ。
なぜあえて「退学」するのか?その理由
1. キャリアチェンジや就職のため
大学院で研究していたが、別の進路に進みたくなった、あるいは企業から内定をもらったために途中で退学する人もいます。特にエンジニアや研究職を目指す人に多い傾向です。
2. 経済的な理由や体調不良
学費や生活費の問題、または体調面の都合で継続が難しくなることも。
3. 修了要件を満たせなかった
必要な単位を取得できなかった、あるいは論文が不合格となった場合も「修了」とならず「退学」扱いになります。
単位取得満期退学とは?


これは、必要な単位はすべて取得したが、論文(修士論文や博士論文)が未提出または不合格のまま在籍期限を迎えてしまったケースです。
多くの大学院では、修士課程で2年、博士課程で3~5年程度の在籍期間が設けられており、その間に論文を提出して審査に通る必要があります。
しかし、論文が未完成のまま期限を迎えると、正式に修了とはならず「単位取得満期退学」という形になります。履歴書では以下のように記載します。
〇〇大学大学院△△研究科博士後期課程 単位取得満期退学



それって、単位は全部取れてるのに“退学”になっちゃうんだ…ちょっともったいない感じがするね。



確かに。でも、研究は長期戦だからね。実はこの形で企業に就職したり、後から論文を仕上げて学位(修士、博士)を取得したりする人もいるんだよ。



へぇ〜、学位はあとから取れるんだ!



そう。いったん“退学”しても、その後の努力次第で学位授与に至るケースもあるのさ。
まとめ
・大学院では「卒業」ではなく「修了」または「退学」と表記される
・「退学」は必ずしもネガティブな理由ではなく、キャリアや環境の変化によることも多い
・履歴書に書く際は、「退学」後の進路や目的も添えると印象が良くなる
学歴の「退学」という言葉にネガティブな印象を持つのは、まだまだ一般的かもしれません。でも、現代は多様なキャリアの時代。「退学=失敗」ではなく、「退学=選択肢の一つ」として前向きに捉えていきましょう!